正式名称は「沼津港深海水族館」といいます。開館は2011年からで 、JR沼津駅からR159 で南下すると沼津港に至り、ここに生きた化石と呼ばれる シーラカンス達が待っています。汐の香りが一面に漂い、港特有の活気が溢れた一画 です。 沼津市自体は 道路も広くインフラ整備もされ、緑多い公園地区と新興のマンションやポートタワーなど の湾岸景色との調和がとれた、とても綺麗な町並みでした。 鮮魚センターが立ち並ぶエリアの入り口、「千本港町」の十字路の 近くに同館はあります。しかし建物は非常に小さく、一般イメージ上の‘水族館’という佇まいで はないので、鮮魚センターかと誤認して通り過ぎてしまうこともあるので、ご注意ください。 私も所在がわからなくて思わず付近をウロウロしてしましまいました。 |
千本港町交差点から、少し南の位置に港八十三番地という商業区画があります。 鮮魚を扱った定食屋が立ち並んでおり、その区画の東側に位置して います。2階造りの水色の母屋で、見学路はほぼ一方通行、下階は他種の飼育水槽、上階がシーラカンスの 展示と様々な同種の資料や映像を見る事ができる、という構成になっています。 |
同館のシーラカンスは、何と5体もあります。2階フロア全てを 使い、それぞれ2体、2体、1体をガラス越しに展示しています。これ程の数量規模と、 同時にシーラカンス についての研鑽を深められる施設は、国内には同館以外ないでしょう。 と、いうわけで1階はオマケ程度の内容で、2階からが本番です。2階 部、最初のシーラカンス展示は 2匹の剥製がいる深海をイメージした暗がりのブースで、ライトを当てる趣向が施されています。 |
(個別識別)1号 (体長)170cm (体重)85kg (捕獲場所)コモロ・モロニ島 (個別識別)3号 (体長)155cm (体重)不明 (捕獲場所)コモロ・モロニ島 |
次ブースは、冷凍保存された標本です。 (個別識別)4号 (体長)168cm (体重)不明 (捕獲場所)コモロ・モロニ島 (個別識別)5号 (体長)166cm (体重)不明 (捕獲場所)コモロ・モロニ島 |
最後の個体はCT精査を受けるビジョンをイメージした展示で、一番真近から、 また色々な方向から観察できます。肉厚なヒレは、今にも動き出しそうな躍動感でした。 少し前までは学術上でも、死体や化石等からも大きな骨と関節 が確認できる、この太いヒレとは陸上を歩行する為に あるのではないか、とも推測されていました。 そして 1980年にコモロ・モロニ島にて 、実際に動くシーラカンスの動画が映像として記録されました。 太陽光の届く範囲の、ほんの浅瀬を泳ぐ姿の映像ですが、ゆっくりと 動くヒレは、立派に水中で泳ぐ為に存在するものであり、 はっきりとした用途の裏打ちを証明する貴重な学術データに もなりました。 同館には、その際のドキュメンタリー映像が流されており、 コモロ・モロニ島での生け捕りの様子から、精査、リリース後の悠然と海中を遊泳する姿、 までが事細かに記録として収められ、通路上で観賞することが出来ます 。現在では、PCでも様々な動画サイトでシーラカンスの生きた遊泳を 見る事が可能ですが、当施設の 動画は学術的な考察も交えてあり、なかなかに興味深い内容でした。 それぞれに独立して力強く 動く8枚のヒレは、既知上の魚には無い存在感の誇示を、そして威厳さえ感じさせました。太古から、その 姿が殆ど変わらない、まさに生きた化石に相応しい雄姿です。泳法に関して追言すると、 シーラカンスは頭を下に向けた、いわゆる逆立ちして泳ぐこともわかっています。 海底の動物を捕食する時の泳法なのだそうです。 |
シーラカンス(coelacanthus)の語源は、『空っぽの骨』というギリシャ語 からきているそうです。同種の突飛した骨格体の特徴は、魚類分類上の他種との大きな 相違点に、ヒレ部の他に、この空っぽ状の 脊柱も上げることができます。内部に神経線維は無く、油に似た流動性の液体が 満たされている事がわかりました。 これらは何と言っても、解剖しない非破壊で精査できるCTの登場により判明したことで あり、科学の発達が生体構造 の解明に大きく貢献しており、昔よりも同条件でも様々な新事実を 発見することが可能になってきた事を意味します。 それでもシーラカンスは、絶対的な個体数の希少性と、発見後まだ間もないことから、 わからない事だらけの生物です。そして 謎に包まれた生態系は、世界中の学者達の探究心を駆り立て続けている 古代生物の申し子の様な存在でもあります。 |
よく、美食家達の言葉にシーラカンスを食べたとか、パサパサして 不味かった、などと聞き及ぶことがありますが、昨今、ほぼ全ての日本人にとっては シーラカンスに触れる機会は無いと言っていいでしょう 。 そういう意味でも、同施設の一画にある 鱗の触診コーナーは滅多にないチャンスであり、意義深いものですので、来館の際は是非試してみて ください。 他種の鱗と触り比べる趣向になっており、個人的には コリコリと固かったなぁ、というのが印象でした。 |
その他、各器官がホルマリン漬されており詳しく観察できます。 2階ブースでは、 シーラカンスについて一から十まで学ぶことができ、『シーラカンス・ミュージアム』 の冠に恥じない展示量でした。グッズも豊富です。 |
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駿河湾は、現在までの調査により 水深2500mとあり、世界一深い湾であるとされて います。海洋生物も深海域に至っては特異な形状が多く、そんな珍しい 深海魚から、ごく浅い域の海洋生物まで、湾の広い水深範囲における 種を扱っているのブースが、 1階展示場になります。 |
ハリセンボンです。 |
チンアナゴです。 |
ヘコアユです。 |
ボロカサゴです。 |
ハタタテハゼです。 |
タランチュラやパイソンもいます。 鮎壺の滝 |
沼津市の沿岸から、北東方向にかけてR414という幹線道路がはしっており、 そのままR87にリンクしています。このR87上の 「鮎壺」という交差点の 一本手前の、ごく細い側道から入場できるようです。この小路は車で入り込むと、 Uターンも出来ない袋小路ですので、ご注意ください。 付近は駐車場もなく、路駐によるトラブル等も報告されているようですので、 車での履行は避けた方がよいかもしれません。 |
狩野川水系にあたる黄瀬川の、落差10mの滝です。 沼津港深海水族館より、5〜6kmの距離になります。公園内では 対岸まで、かけ橋が架かっています。 |