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サリーナホテルから一番近い、オープンレストランに入ってみた。 通り沿いにある食堂だったが、 母屋よりも屋外の方に卓を多く設置し、いかにも南国風情がある構えの店だった。 店員とも仲が良くなってしまい、その上、値段が安かったので以降は何回も通うことになった。 『旦那、今日はどうしやす?』 「トムヤンクン、俺っち初体験しちゃおうかな〜」 『あいよ〜』 |
卓に並べられた料理。ああ、これがトムヤンクンか〜と覗き込む。 「はうあっ!くさっ・・・」 申し訳ないのだが、魚貝系の料理は生臭さが半端では無いのだ。 当店のみではなく、シェリアップ市のレストラン全般に言える 事なのだが、魚はトレンサップ湖産の淡水魚を使用するらしく、 どこの店に行っても生臭さ付いてまわるのだ。 |
上記の左は、骨付き肉のように見えるが、実際は 魚のフライ。緑の激辛ソースを付けて食べる。右は貝の佃煮。 チャーハン等は何処の店でも 抜群に美味いのだが、(個人的に)貝や魚の料理だけはどうも ダメだった、味云々よりも生臭さが 回避できなかった、というのが経験かくる素直な感想である。 『旦那、どうでしたか?トムヤンクン』 「ああ、うまかったよ。それよりもさ〜、サンダル売ってるトコ知らない? こう市内中、水浸しだと靴なんて履いてる場合じゃないんだよね」 『でしたら、ラッキー・マーケットがいいでしょう。 日用雑貨から何でも揃いやす。ファーストフード系の店もありやすぜ』 |
ラッキー・マーケットはシェムリアップ最大のショッピングモールだ。1Fに食料品、 2Fに衣類、3Fに電化製品が並んでいる。日本で買い忘れた物は大抵は揃うだろう。 サンダルを購入して、これで完全装備! 取りあえず寺でも巡ってみるか。と、デカそうな寺院目指してブラブラ歩き出す。 |
シェムリアップ市は観光特化している都市だが、街の規模としては、かなり小さいと 言っていいだろう。人口は約17万人しかいなく、数値だけ見れば地方都市という位置付け にしかならないが、その実、観光客誘致という局面においては、カンボジアにおける海外からの 渡航者の何と半分という割合を、毎年この地に向かわせている。 東西に延びる 6号と、南北に流れるシェムリアップ川がクロスする最中央部から、 シンボルの二アッキー像を頂点にして放射状に街が広がりをみせる。 中心部付近はシアヌーク・ヴィラ という王族専用の別荘になっていて、この場所は一般人の立ち入りは禁止である。 |
別荘地を6号道路を挟んだ上の区画は公園になっていて 、綺麗な噴水もあり近隣の 住民達の憩いの場になっている。 |
6号 通り沿いには、観光案内所も併設されている。 |
公園敷地の中央路は、大コウモリが住む巨木が並ぶ。 体長は1m近くあるジャイアントバットであるらしいが、 昼間は木の枝にぶら下り寝ている。夕刻に なると活動しだす。昼寝を邪魔してやろうと、幹を揺らしてみたが 巨木は撓ることは無く、 全くビクともしない。 小石を投げたが、彼奴等がぶら下がる葉先までは全然届かないようだ。 |
『フハハハッ、無理無理。何メートルあると思ってんだね。 いかな強肩をもってしても絶対無理、ムリムリムリムリかたつむりよ!!』 現地民がニヤリとした眼差しを向ける。 やはり、夕刻にならないと生態観察の変化は期待できないようだ。 |
プレスチェー・プレスチョムシェムリアップの民の性情は、おおむね穏やか長閑で、 市内観光であれば特にトラブルに巻き込まれるような危険性はないといって いいだろう。 寺院は上座仏教であり、参拝者はかなり信心深いという印象を受けた。参詣のしきたりは特に無いが、靴を脱ぐこと、肌が多く露出する格好は避けること。 そして、女性が僧侶に対して話掛けたり物を渡す事は戒律で禁止されている。 その他、気を付ける事をして、子供の頭には精霊が宿るという考え方があるので、可愛さから頭を撫でたりすること は不快感と誤解を招く行為になる。 |
ワット・プリア・プロム・ラス |
ワット・プリア・プロム・ラスの創建は1371年と、かなり古い。 シェムリアップ川沿いのポコンポー通りにある寺だ。 寺院の装飾や色彩は、アンコールワット等の単色の石積伽藍を先に見学すると、かなり派手な 印象を受ける。母屋の奥には寝釈迦の像がある。 |
ワット・ダムナックこの仏教寺院は、寺院の用途と同時に裁縫学校としても施設を兼ねている ようだ。 ホテル傘下の施設のようだが、窓から覗いてみると木製の机とミシンが規則正しく並び、若い女達が 熱心に実技練習していた。カンボジア伝統の布製品やシルクの裁縫専門学校みたいなもの だろう。 |
カンボジアの絹織物は古来より有名で、 アンコール王朝が興る以前からインドや、遠く西洋からも取引があったという。 土産として 生地のほかスカーフなども人気があり、専門のシルク専門店も隆盛している。 |
ワット・ケサララームこちらも極色彩。壁面に釈迦の人生と、教えを説く図柄が描かれている。 |
所在は6号沿いにあるので分かり易い。 |
ナイトビジネス中心部の二アッキー像からシェムリアップ川を南下すること1km、 橋を渡ると「ヴィシュヌ神」像があり、そのまま東に500mほど進むと、2店舗並んでいる。 場違いなくらい派手な外壁があるので、直ぐわかる。 |
「ドリームワールド」「ピンクパラダイス」という名前の店。 看板の写真から察するに、クラブみたいな店のようだ。トゥクトゥクのドライバーが 昼間から従業員の女性と、店舗裏口で喋っている姿をみた。見た感じ、現地民も 使う一般的なナイトクラブのようだ。 ちなみに余談であるが、カンボジアにおけるエイズの蔓延は 東南アジアの中でも高く、 罹患率は性風俗に携わる女性の数%以上に及ぶと言われている。 ここら辺は旅行者の自制が必要である。 カンボジア 国民が海外に出稼ぎに行き、そこの売春宿で感染し、さらに家族間で 感染するという悲劇的なケースが多いのだという。 90年代は爆発的に罹患者が増え、政府は2002年にエイズ予防管理法を制定し、 感染拡大と予防の啓蒙につとめた。労が奏し、少しづつであるが現在は減少の傾向にある。 |
スバエクさて、企画旅行会社の内容で、カンボジア鍋を食べながら カンボジア伝統芸能を観賞するというサービスがあった。ホテル内でなく、ホールを 借りて上演するらしく、ワゴンで引率者が迎えに来てくれるというものだった。夕刻にホテルロビーで待っていると、定刻にやってきて。予定通りにホールまで運んでもらった。 日本人の多いサリーナホテルらしく、ホールの方も畳敷だ。20〜30畳近くある大広間であったが、 客は私一人。スタッフや踊り子など、総計30人近くは居ただろうか、対して観賞者は私一人で何だか 申し訳なくなってくる。 『ニホンとカンボジアとの友好をこめて!』 司会者が 高らかに宣言した後、カンボジア鍋が運ばれてきた。 |
「う〜ん、鍋ですね。なべ、普通の」 これは、日本で見る物とあまり変わりは無さそう。内容は 日本人好みの味付けで、湯葉、白菜やカボチャが確認できて、かなり淡白な印象を受ける。 箸で突いてみると、魚の切れ身が2〜3枚あるのが判った。 ・・・できれば肉だんご、なんかのコッテリ系蛋白質がいいんだけどなぁ〜 |
ピ〜ヒャラ、ピ〜ヒャラ ドンドンドンドコ! しばらくした後、 民族管弦楽と太鼓の囃子が鳴り響き、スバエク開園を告げた。 スバエクはいわゆる、影絵のことだ。カンボジア影絵はシェムリアップが発祥で古くは 王宮の人間しか観ることが出来なかった。現在では、 夜の余興として市内では一般的に上映され、影絵だけを扱って興行する会社もある。 アプサラダンスとペアで共演される事も多く人気のレクリエーションだが、クメール・ルージュ の文化破壊として根絶やしの対象に遭った時代もあったようだ。 ただ、現地語(クメール語)による音声であり、内容がよく分からないのが 残念な部分だ。 ご丁寧にも、内容解説した印刷紙が配布され、それ依れば、 農村で超美人妻を娶ったポアさんの 話。村にソーという男がいて、奥さん欲しさにポアに賭けを挑む。持ち水牛を決闘させ、勝った方が 女を自分の物の出来る、という無理難題。ポアさん渋々受け、不幸にも大敗北。しかし、 素直に奥さん渡したくない のでポアとソーが乱闘を始め、最後は警察が介入し両者が大目玉を喰らう、という内容らしい。 勿論、これは数ある上演内容の1パターンで、痴話話から 神々の神話に至るまで様々な物語があるのだと いう。本施設での上演時間は15分程度であったが、専門の劇団 一座による 正規の公演であると60分〜90分近くに及ぶ長編の演劇になる。 |
宴も酣、酔いも高まり気分は最高。するとデザート皿が運ばれてくる。 『バナナの天ぷらでございます』 私ひとりに、あれこれと周りのスタッフが手を焼いてくれる。 この献身ぶり、まるで王になった気分だった。影絵の装置が下げられた後、 今度は、5人の若い踊り子が華々しく 登場した。艶かしい手足の動きと女神の笑み。そして、惜しげもなく 舞い散る花吹雪。本番のアプサラダンスの開始だ。 「待ってました!ピューピュー」 アプサラダンスその特異な動きは、アンコールトムと始め各所の遺跡に壁面彫刻として 描かれている。遺跡を巡ると、既に予備知識としてアプサラダンスというものが朧げながら 掴むことが出来きている。 |
歴史は古く、原型は9世紀には既に存在していたようだ。 15世紀にシャム(タイ国)がアンコール王朝を滅ぼすと、踊り文化も持ち帰られ アユタヤ朝の娯楽にもなった。アプサラとは「天女」という意味で、舞い散る花吹雪は ハスの花である。 <アプサラス> インド神話における水の精で、その名は「水の中で動くもの」の意。天女だともされ、一説では 乳海攪拌の時に生まれた存在だという。『ラーマーヤナ』中ではアプサラー(Apsara)とも呼ばれ る。『リグ・ヴェーダ』では海の精ともされる。 見た目は歳若い女性の姿で、その妖艶な美貌を使って修行中の人間を誘惑 して堕落させるという。普通はガンダルヴァを配偶者にするが、人間の男性と結婚することもあ るとされる。自由に変身することが出来、主に白鳥になるという。 (Wikipadia)より |
楽団に合わせて踊り子達が優雅に舞う。 台詞の発声や、即した 演劇などは無いようだ。代わりに、独特の腕の動きが1つ1つの場面内容を代行している。 終劇と同時に、司会の男が脇まで近付いて耳元でソッと呟いた。どうですか? いい娘達でしょう〜、ご一緒に・・・・ 「うん最高だった。じゃ、センターの子をお持ち帰りで」 『ソウジャナイよ、このスケベコゾウ!』 「あっ、はい」 単なる、記念撮影のサービスだった。 最後は司会が召集をかけ劇団員全員で並び、ハイ、チーズ!パシャッ。 と、私のカメラで集合写真を撮って、お開きになった。 |
大満足の宴会が終わった後、再び ワゴンに乗り込む。帰路の途中でショッピングセンターに連れてってくれた。 |
「アンコールショッピングセンター」は6号沿い、王宮別荘のすぐ横で営業する高級店だ。 土産屋としては、 市内最大級の品揃えだという。ワニ皮の財布、シルク、貴金属や宝石など、欲しいものは 金に糸目を付けなければ 何でも手に入るだろう。店員の殆どが日本語が話せ、$を¥換算した値札を提示してあったりと 、かなり日本人の購買者を意識した店構えだ。 |